無地の服は無地であることがメデリ。【ミニマリスト】

ミニマリスト 服・靴・アクセサリー

 おれはミニマリスト。
 シンプルな物が好き。だから無地の服も好き。現に普段よく着ているし。
 でも、無地の服を卒業《やめ》ようと思う。

 なぜなら、疲れるから。

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 無地のメリットは、無地なこと。
 そして。
 無地のデメリットは、無地なこと。
 そう。
 無地の服は、無地であることが、メデリということなんです。

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 無地の服のいいところってさ、情報が少ないところなんだよね。
 絵、柄、写真、文字列がないから、情報量が少なくなる。
 情報量が少なくなるということは、必然的に「情報処理」の回数も少なくなる。
 つまり、脳が疲れない。おれの脳が働かなくて済む。そゆこと。

 どゆこと? あのね、われわれ人間は見えたものに対して情報の処理を行うようにできている。随時。いつも。常日頃。それが無意識だろうが有意識だろうが関係なく。必ず。処理をしようと脳みそが働く。どうでもいいようなことであっても無意識的に働いちゃうのさ。

 例えば? 「Beautiful sea」と大きく胸元に書かれたTシャツがあったとする。
 そのTシャツが目にはいるたび、われわれ人間は咄嗟に無意識に「Beautiful sea」という文字列を読み上げてしまう。興味がなくても。なんとなく。頭の中で読み上げてしまう。
 さらに、日本人の場合は、この文字列を日本語に『変換』する処理も行なってしまう。無意識的に。「美しい……海……」と。英語だからね。

 つまり——無意識に、疲れてしまう。

 だからシンプルで情報量が圧倒的に少ない『無地』というのは、われわれを省エネモードでいさせてくれる優秀なものなんですよ。
 省エネモードにさせてくれるから日々のパフォーマンスも必然的に上がってゆく。

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 しかし——無地のように情報量が少なすぎても、かえってパフォーマンスを悪化させてしまう事もある。情報処理の難しさをあげてしまう事もある。

 例えば? 黒で無地のTシャツ。真っ黒。なんの模様もない。
 パッと見「あぁ黒いTシャツだね。無地の」という情報しか得られない。
 これは前述であげたとおり無地のメリットではあるのだが……しかしこれは同時にデメリットにもなる。

 なぜなら、この無地で黒いだけのTシャツを着ようとする時、パッと見、どっちが表でどっちが裏なのかわからない。そして、どっちが前でどっちが後ろなのかもわかならい。
 無地であるということは、前後表裏の判断が難しくなる。その難しい前後表裏の判断を、Tシャツを着るたびにしなくちゃいけない。
 これはかなりめんどくさい。神経と時間の無駄遣いになってしまう。
 Tシャツに、いちいち顔を、目を近づけて、
「えーと、裏返しじゃないね。でー、こっちが前か」
 みたいなことをしなくちゃいけない。
 これをしないと、裏で着てしまったり、前後を誤って着ることになってしまう。

「判断疲れ」という言葉を耳にしたことはありますよね?
 人間は、判断をする回数が増えると、判断をする時間が増えると、そのぶん疲れるしストレスを感じてしまう。そういう性質。そういう生物。
『判断』というものは、とても疲れること。
 たかだか服を着るだけなのに、そのたびに神経は疲弊するし脳には無意識にストレスがたまってしまう。

「(内側にある)タグ見たらわかるじゃん」
 と思うかもしれないが、タグを前提にする作戦は好ましくない。
 タグを捜さなくちゃいけない。タグを捜すというタスクが生まれてしまう。
 それにタグなんていつまでも付けておかない。着心地に影響するので。チクチクするじゃん。だから買って来たらすぐハサミで切り落とす。ジョキン、と。
 だからタグ前提の議論は受け付けないし解決方法としては弱い。

 とまぁ、そんなかんじで、好きで着ていた無地の服だけど、かえって効率を下げていることに気づいた。

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 ということで——効率を考えるなら、何か目印がある服のほうがいい。
 その目印が大きいとかなりうざいので、可能な限り小さいほうがいい。できるだけ無地に近いやつ。でも目印があるやつ。すなわち『ワンポイント』が欲しい。
 そう、前後どちらかにワンポイントがあると瞬時に区別、判別がつきやすい。
 そして、ほぼ無地だから情報量は少ない。
 脳処理の量は少ないし、処理レベルは簡単になる。だから脳への負荷は少なくなる。ということで無意識な疲弊が解消される。最小限になる。

 そのワンポイントは胸や背中(首に近いところ)とかに欲しいかも。
 腕とか横裾あたりでは、だめ。
 なぜなら、サイドに目印がある場合、結局どっちが前でどっちが後ろかわからなくなるから。
 でも前後どちらかにワンポイントがあると、前後の判断はつきやすくなる。もちろん表裏の判断もつきやすくなる。

 ということで——無地はシンプルで好きだけど、無地の「服」にかぎってはもう卒業《やめ》ようと思いました。