ラップとコロコロは良い物を。

随筆

 基本的に消耗品は安い物を積極的に選んでいる。洗剤もティッシュも使い捨て手袋も、できるだけ安い物を買うようにしている。だがしかし『食品用ラップフィルム(サランラップ)』と『粘着クリーナー(コロコロ)』は、あえて品質の良い物にこだわっている。そのほうが日々の効率性が上がり、時短になり、ストレス負荷がかからず、よい暮らしを送ることができるから。つまりは多少経済的コストが嵩んだとしてもそれに見合った費用対効果が十分に得られるためこれは無駄遣い的な消費ではなく投資。なのであえて高品質な物を選ぶようにしている。

 高品質といっても、べつにバカ高くなるわけではない。値段が1.5〜3倍上がるのは確かにそうだが、所詮は消耗品。安物は100円未満で買えるため、3倍になったところで300円ほど。なんら問題はない。他の消耗品に関しては安い物を選び節約になっているため、ラップとコロコロにちょっと出したとしても家計を圧迫させることはない。

 安物の100円くらいのラップは、とにかくカットしづらい。手首にスナップを効かして《クイッ》とやっても《クルッ》とやってもすんなり上手くいかないことが多い。力任せでやろうとすればかえってラップは反発してくるため、力任せの闇雲なマウントはかえってガードポジションをとられやすく三角絞めの餌食になりやすい。だからこういう安物ラップにはそれぞれ上手くカットするためのコツが存在する。
 例えば、本来必要なラップの長さよりも更に長く尺をとり、しっかりと《ピンっ》と張った状態で、刃を真っ直ぐではなく斜めに入れながらカットする。こうすることで安物のラップでも上手く切れる。が、しかし、これをやっても切りづらいことも多い。
 一方、高品質のラップの場合、まぁまぁ張った状態であれば、ちょっと手首にスナップを効かせるだけで簡単に《スパッ!》とカットされる。それも毎回。毎回《スパッ!》だ。失敗することなどほとんどない。だから、たいしたコツもいらないから気軽にできるし、失敗がないから時短にもなるし、なんのストレスも感じない。よってこれは「よい投資」と言える。

 コロコロも同様。やはり安物と高品質な物では使いやすさが全然違う。ストレス負荷度も全然違う。
 安物の場合、ミシン目が見づらいしソレどおりにやってもカットしづらい。慎重にミシン目に沿ってゆっくりやっても脱線するし、だからといって勢いよくやっても大規模な脱線事故になる。
 脱線事故が起こると、見栄えが悪くなり、カットしづらくなるだけでは済まない。脱線したということは汚い部分が脱線した分だけ次回のお掃除タイムまで残り続けるということになる。そんな汚い物をいつまでも保管しなければならないという気持ち悪さ。ストレスデス。

コロコロの絵。黒いところは「脱線した粘着シート」を表している。

 こうなってしまっては次回カットする時にも大変。まず、見つからない。カットしたくてシートの|先端《はじまり》を捜すが、見つからない。一見、先っちょを捜すだけだから簡単だ、すぐに見つかるだろう、と思うかもしれないが、毛や埃や糸屑などをコロコロした後だと全体的に黒くなっているため、かなり見づらい。だから捜す捜す。「先っちょどこ〜〜!!」と。
 どうにかこうにか捜しあててからも、まだ戦いは終わらない。先っちょから《ぺりぺり〜》とめくっていっても途中で破れることが多々。それも連続で破れることも多々。「ぺりぺりビリッ…………ぺりぺりビリッ…………」と。ストレス。ただのストレスでしかない。
 無事に破れずにクルリと一周めくることができても、またカットする際に苦戦する。ミシン目までいくか、それともちょうど1周したところ(汚いところが消えたところ)でカットするかは迷いどころ。ミシン目までいったほうがカットの成功確率は上がるが、それだと新品の粘着シートを少し犠牲にしてしまいもったいない。そしてミシン目までいったところで無事に脱線せずにカットできる自信もない。だからといってミシン目のないここでカットしたらもっと脱線確率は上がるだろう。そんな苦渋な決断に責められる。どの道にも明るい未来が見えない。
 つまりは、どちらにせよ、安物を選べば苦戦必至。そんな話。

 高品質なコロコロであれば、容易にカットが可能。ミシン目がしっかりしていて、おそらくシートも良い物を使っているので、《スパッ!》といける。簡単に。真っ直ぐ。《スパッ!》が可能。雑ゥ〜にやらなければ脱線事故はほとんど起きない。時短になり、ストレスフリー。あの嫌なコロコロタイムが嫌じゃないコロコロタイムになる。

 ——ということで、ラップとコロコロは良い物を選んだほうがいい。いつもどんなときも気軽に手軽に《スパッ!》といきたい。