飴舐めの誓い。

随筆

 飴を最後まで噛まずに舐め切れるか、溶かしきることが出来るか。
 最後のほう、どうしても、噛みたい欲が増す。
 なぜなら、最後のほうは小さいから舐めづらいうえ、鋭利にとがっているため、場合によっては歯茎にささったり、のどちんこに傷がついたりしてしまう恐れがある。
 その恐怖から、飴を一刻も早く粉後に噛み砕いてしまいたい衝動にかられる。
 それだけではない。正直、飴は途中までは美味しく味わえるけれど、後半は作業になっていることが多い。
 小さく鋭利になった危険な飴をわざわざ最後までご丁寧に味わう必要がないのではないかと思いやっぱり噛み砕いてしまいたくなる。強制終了したくなる。

 だがしかし、何故だかわからぬがソレをやっては《負け》な気がしてならない。
 何が負けているのか、誰かに負けているのかは、感じている本人にも不明ではあるが、なんとなく敗北感がある。だから最後まで噛まずに舐め溶かして差し上げたくなる。
 ソレができると勝利者であり、できなければ敗者。できた時の満足感、達成感は中々に良い物である。
 なのに毎回舐めている途中で無意識に噛み砕いてしまい「あっ」と掲げていたミッションを思い出すのだ。