上書きによる誤魔化し。

随筆

 ピーリングにハマっている。無心でひたすら出来る。全身。ポロポロと角質を出しまくる。これが中々に気持ち良い。
 ふと思う。自傷行為にハマる人はこのような感覚をトリガーにハマり出すのかも、と。

 なぜそう思うかというと、例えば、唇の皮を食べたり、口の中の粘膜を小さく噛みちぎったり、ささくれをちぎったり、爪をむしったり弄ったり、髪を抜いたり。こういうのってストレスが原因だと言われている。これらは自傷行為のトリガーというか、自傷行為そのものと言っても大袈裟ではないし低レベル帯の自傷行為と言ってもまったく差し支えはない。

 なにもリストカットや首絞めや根性焼きや衝動ピアスだけが自傷行為というわけではない。乾燥してピラピラとめくれている唇の皮を噛みちぎればそれは程度の低い自傷行為。
 つまりはピーリングも自傷行為。角質をぼろぼろ「溶かし削り出す」のでこれは正真正銘自傷行為。そう思った。

 やっていい自傷行為とやってはいけない自傷行為の二つに分別するとして、ピーリングに関してはやっていい自傷行為。自分自身それを自傷行為だと感じないくらい程度の低い自傷行為だし、痛みも無ければリスクも特にはない。
 無心で出来る全身ピーリングはとてもとても楽しい。音楽を聴きながら、ラジオを聴きながら、ひろゆきが繰り出す情報を楽しみながら思考停止でやるピーリングは心のざわつきが強制リセットされる。穏やかではないが、ざわつきが消えるので、穏やかと言ってもいいレベルに心が落ち着く。

 普段から何となくやってしまう癖は長年の癖というのもあるが原因はやはりストレスだろうか。クチイジリやツメイジリやユビイジリやカミイジリなどは、ネガティヴ感情の際に取ってしまう行動であり、思考放棄(現実逃避)などを目的に無意識にやってしまうことが多い。日常生活に支障をきたすほど異常なイジリ系自傷行為はやっていない、と個人的には思っている。
 とはいえ、程度が低いイジリ系自傷行為にも罪悪感を持っているのは確かで、とくに現実世界へデメリットをもたらさないくらいの程度であっても「はぁまたやってる」とため息が漏れる。

 だがしかし最近の我が輩は少し変わった。これらのイジリ系自傷行為をあまりやらなくなった。ピーリングをやるようになってから明らかに回数が減ったし「最後にやったのはいつだったっけ」となるくらい明らかに自傷行為をやらなくなった。
 超低レベル帯自傷行為であるピーリングを日課にしたことにより、低レベル帯自傷行為であるイジリをほとんどしなくなった。きっとこれは自傷行為の上書きによるものだと思っている。要はピーリングの快楽がこれまでやっていたイジリ系自傷行為がもたらす現実逃避的快楽を圧倒的に上回ったということだ。

 我が輩は飽き性なので、好んでやっていることでもすぐに飽きてしまう。時が経てばまた再開するが。つまりは集中力が弱い。
 なので自傷行為にも飽きが発生する。ピーリングが自傷行為にカテゴライズしているということで、ソレにより欲求は満たされているので、2次会的にイジリ系自傷行為をやりたくならない。お腹がいっぱいな時に大好きな家系ラーメンを食べたいとは思えないからね。

 こーれは良い趣味を見つけてしまった。ストレスがつくりだしイジリ系自傷行為がまた新たにストレスをつくりだして、の地獄ループになったいたので、イジリ系自傷行為を卒業できそうで、ただただ嬉しい。

 ただしピーリングは物によっては毎日やってはいけないと言われる物があるし、あと体質(肌質)によっては頻度を変えなきゃいけない場合もある。だからピーリングをやりたい人は自分の体質に合わせて頻度の調整をしたほうがよい。ちなみに自分は毎日やっているが特に異常なし。今のところ(2週間くらい継続)。むしろ以前よりも肌が綺麗になっていってるので喜びが強い。肌が弱く、ニキビもできやすいので、人目につきやすい顔が綺麗になるのは精神衛生上も喜ばしい事だ。
 良い趣味をみつけた。良いオモチャを見つけた。ハトムギピーリング。安いし続けやすい。飽きるまで。飽きるまでは遊び続けよう。上書きで誤魔化すのは悪いことじゃない。