パンはパンでも

随筆

「パンなんてどれ食ってもパンじゃん」と思っていたけど、そんなことはなかった。と気づく。
 パンは嫌いじゃないけど、何もつけずにそのまま食えと言われたら、中々に厳しい。バターやマーガリンを塗っても厳しい。たっぷりとたっぷりとチョコを塗ったくったり、カツやチーズやウインナーなどが挟まっていないと食べる気にはならない。分厚いトーストとか最悪で、分厚いぶんチョコや具が必要だ。トーストは薄ければ薄いだけいい。味のついてないところは捨ててしまえ。とまでも思っていた。

 だがしかし現在の我が輩は違う。パンは美味しい。何もつけなくても美味しい。パンにはパンの味があるし、焼き方や焼き加減によってまた味や香りに変化があり美味しい楽しい素晴らしい。バターだけでも贅沢だ。ご褒美でしかない。チョコなんてちょっと塗れば十分だし、惣菜なんか頑張って挟めなくても全然いける。ぶあついトーストむしろ大好き。コメダなんかにあるトーストは最高以外になんと呼べばいい。つまるところ今はパンが大好きだ。

コメダ珈琲。モーニング。小倉バタートースト。


 根本的な話、昔はパンがあまり好きじゃなかったのかもしれない。惣菜パンとか菓子パンとかは好きだったが、具がないパンだけのとこは捨てていたし、少ししかクリームやチーズがかかっていないところは息を止めて食べていた。パンの味や香りがそこまで好きじゃなかったのだろう。

 最近は何も塗らず乗せずそのまんまでも美味しく召し上がる。ジャムもクリームもうっすら塗りが「むしろ良い」とまで感じている。
 パン人気、パン需要に違和感があったが、ようやく30歳をこえてからその理由がわかった。パンは安くて美味しくて楽しい。ありがたい発明だ。

 パン繋がりとして——昔は『いちごジャム』とかのフルーツ系ジャムがあまり好きじゃなかった。ジャムを量多く舌に乗せると鳥肌が立った。パンにフルーツジャムは合わないと思っていたし、ジャムそのものが美味しいと思えなかった。食事に出れば仕方なく食べていたというだけで、できれば食べたくなかった。

 31歳になって、フルーツジャムの美味しさがわかった。今ではめっちゃ好きだ、フルーツジャム。
 ジャムを塗り終わると、高確率でスプーンとかにまだ少しジャムが付着している。そのままシンクに捨ててはもったいない。だからジャムがまだ塗られていないパンの耳(側面)とかに塗ったくって、ジャムを無駄なく使う。でも、それでもスプーンにはまだちょっとジャムがくっついてる。
 以前までの我が輩なら、ここでもう「めんどいから」とジャムのついたシンクにすぐにポイしていたけど、最近の我が輩はスプーンをパクッと舐めて「うんまああ」と言っている。心の中で。ジャムをそのまま食べる贅沢感。心が踊る。
 以前ならそのスプーンについてるジャムを舐めるのも《気持ち悪くて》なんかできなかった。マヨチュチュみたいなかんじで気持ち悪かった。まあ今もマヨチュチュはできないが。今はむしろパンを食べない時でもジャムにスプーンを入れて「悪いコト……悪いコトをしている……!」と言いながらジャムをそのまま食べる事もある。とにかく今はフルーツ系ジャムが大好きだ。いちごも好きだが、とくにブルーベリーが自分には合っている。

 そういえば、今年初めて『リンゴバター』をトーストで食べたが最高に美味しかった。どこのメーカーのなんて名前の商品かは覚えてないが、透明の容器に黒い蓋のやつ。写真もないから紹介もできないがとにかく美味かった。
 食パンにりんごなんて以前までの我が輩なら断固として拒否っていたが、フルーツジャムを克服できたからこその挑戦。新たな美味しいものに出会えて心から嬉しく思う。

 そしてこの度、新たに2人のジャムが我が家に届いた。ベースフード社からのプレゼントだ。


 りんごとあんず。初あんず。あんずへの試み。勝利か敗北か。昼ごはんに早速食べてみようと思う。トーストで。しかし良い色だな。あんず。