ウケる。不思議なリアル。

随筆

『今年最後のなになに』とかに違和感。
 年末になると、なぜだか急に、ここ12ヶ月くらいのことを振り返ったり、来年(12ヶ月)の抱負を考えたり、普段しないことをしたり、謎に羽目を外したりする人がいる。不思議だよね。

 例えば。
「年末だから大掃除をしよう」
 みたいなやつ。
 いや。あのさぁ。大掃除とかしなくていいように普段からちゃんと掃除しといてよ。清潔にしといてよ。1年の最後にやるとか決めちゃってるから普段サボっちゃうんじゃないの。不思議。
 ってなる。

 あと。
「今年最後の仕事だから頑張るぞ」
 これさ。1年の最後だから頑張ろうとかじゃなくていつも頑張ったらどうだい。常に頑張ってないから最後くらいは頑張っておこうみたいな思考になるのかな。最後だから、じゃなくて、今日も、じゃないの。「今年最後の出勤日だからいい感じに〆ておきたい」みたいなことなんだろうけど、来年最初の仕事はなかなか身近。どうせ数日休めばまた出勤だよね。だから「最後だから」はよくわからない。不思議。
 ってなる。

 あと。
「今年最後だし……いっか!」
 みたいなノリも不思議だよね。いや、なんでいいの。羽目を外してみる的な? そういうこと? えっ、なんで。年末だと普段は「よくない!」と思ってることが「いっか!」ってなるの? そうなの? そうなの……。不思議……。
 ってなる。

 あと。
「今年も色々あったなぁ~」
 と、しみじみ思い出に浸るムードにも違和感。なんでわざわざたかだか12ヶ月くらいの出来事を叩き起こすんだろう。なんで「1年」で考えるんだろう。1年なんてあっという間なのに。わざわざ浸るほどのことなの。べつに浸りたいなら浸りたいときに浸ったらいいんじゃないの。年末頃にイベント的に浸るんじゃなくて。5年、10年、15年前とかの何らかの記憶にだって浸ればいいんじゃないの。われわれが生きている時間は「一生」なので細切れにする必要はあるのかな。不思議!
 ってなる。

 2021年が2022年になるだけなのに。
 2022年になったら進化するとか使える魔法が増えるとか何かそういうのがあるのかな。それくらい特別なことなのかな。なにがめでたいの。その感覚がよくわからない。『人生ベース』で考えるのが当たり前だと思っているから。だからどうしても違和感を隠しきれない。「今年最後の」「今年最初の」「来年の抱負は」みたいなものがぜんぶ不思議。だって1年ごとではなく人生ごとに考えることだと思うから。人生ベースで。できるだけ頑張る。最短で。最速で。じゃないの。

 大晦日と元旦で何が変わるのか。
 2021年の12月31日と、
 2022年の1月1日で、
 大した変化はないんだよ。
 なのになんだか世間は大袈裟じゃない?
 今日が明日になったというだけの事実を都合よく誇張しすぎじゃない?
 スマホの中にある表示、カレンダーに数字の変化があるだけで、我々の日常生活への変化はとくに何もない。強いて言うならば寿命が縮んだくらい。だからどちらかといえばマイナスな印象を感じる。

 そんなかんじで年末あたりに特別な意識をいだいて「今年最後だし……がんばるぞ!」「今年最後の集まりかぁ」「今年最後の夜ご飯」「今年最後だし、ふんぱつだ!」「初日の出みよ!」みたいな光景を見ていると、なんか、ウケる。